文部科学委員会 平成14年11月1日 第2号 全3件
連合審査会開会に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)



第155回
第2号 平成14年11月1日(金曜日)
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平成十四年十一月一日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 山谷えり子君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    伊藤信太郎君
      小渕 優子君    岡下 信子君
      岸田 文雄君    近藤 基彦君
      佐藤 静雄君    谷田 武彦君
      中谷  元君    林田  彪君
      松野 博一君    森岡 正宏君
      柳澤 伯夫君    大石 尚子君
      鎌田さゆり君    中津川博郷君
      肥田美代子君    平野 博文君
      藤村  修君    牧  義夫君
      牧野 聖修君    山口  壯君
      池坊 保子君    黄川田 徹君
      石井 郁子君    児玉 健次君
      中西 績介君    山内 惠子君
      松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長       
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青       
   少年局長)        遠藤純一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           渡辺 芳樹君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
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本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)



○古屋委員長 山谷えり子君。
○山谷委員 学校教育法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
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−略−
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 今、子供たちの学力、体力、意欲の低下、そのほかに生きる意味と規範意識の喪失というのが非常に大きな根っこの問題となってあるというふうに思うんです。
 そこで、さきの国会で私が問題にさせていただきました、中学生にピルを勧める、あるいはフリーセックスをあおるような内容の「思春期のためのラブ&ボディBOOK」、保護者も大変に反対いたしまして、波紋が広がって回収というようなことにもなったわけでございまして、遠山文部科学大臣は、五月二十九日の答弁の中で、中学生にここまで教えるのはどうか、自分で考えて、いいと思えばやっていいというようなトーンがちょっと強過ぎるというふうにお答えいただきまして、私も本当に共感をしたものでございます。
 
これが、各市町村、調べてみましたら、例えば神奈川なんですけれども、三十七市町村、十六回答ございましたけれども、指導者用としてとってあると言って、海老名市なんかは千百とってあるんですね。それから、相模原では、来年の三月に配付予定である、五千百三十六部とってあります。それから、藤沢市などは、三千二百とってあるんですけれども、厚生労働省あるいは文部科学省からの指示待ちをしているというような状況でございまして、これは「ラブ&ボディBOOK」の総括がきちんとできていないためにこのような現場での混乱状況、ハンドルの切りかえがされねばならぬということをきちんと定義したつもりでございましたが、そうなっていないということのように考えますけれども、厚生労働省の方はどのような助言、指示をなさったんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、十代の人工妊娠中絶でありますとか性感染症の罹患率の増加などさまざまな問題に対応するために、性に関する健全な意識の涵養を図るということが大きな課題となっておるわけでございます。
 御指摘の件でございますが、財団法人母子衛生研究会が作成した「思春期のためのラブ&ボディBOOK」というものでございますが、これにつきましては、ピルについての副作用が記述されていないなどの問題があるということについて先生からも御指摘を受けていたところでございまして、こうした御指摘を踏まえまして、先生御承知のとおり、私ども厚生労働省から本件冊子を作成した財団法人母子衛生研究会に対して、必要な見直しを行うように助言を行ったわけでございます。
当該財団の方では、訂正資料を作成し、希望のあるところにこれを配付するという措置をとったわけでございますが、全体に配付している中で、回収されているものもあり、そしてまたこの訂正資料も御活用いただくというようなところもあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、この財団におきましては、
本件「思春期のためのラブ&ボディBOOK」という冊子につきまして、今後の増刷とか配付の予定はない、こういうふうに私ども、報告を受けておるところでございます。
○山谷委員 
今後増刷しないというのは当たり前のことでございまして、母子衛生研究会がどのような文書を送ったか、渡辺審議官は把握していらっしゃるんでしょうか。都道府県教育委員会殿として、希望に応じ、追加資料を配付するところとしているところでありますがと書いてあって、配付済みの冊子のうち使用見込みがないものについては、当会で引き取ることとしておりますので御案内申し上げます、追って配付先にもその旨の御案内を申しております、配付先にその旨をお知らせいただきますようお願い、何を言っているんだか、これは全然わからないですよ。総括していないということですよ、これは。もう一回お答えください。
○渡辺政府参考人 今御指摘いただきましたように、当該財団法人からは、こうした七月十八日付の文書で、都道府県・政令市母子保健主管担当、教育委員会・学校保健主管担当殿ということで、この冊子につきまして、希望に応じ、追加資料を配付することとしているということで、見本を送付させていただいたわけでございます。あとは先生今お読みいただいたような記述もあるわけでございますが、私ども、こうしたことは、国会での先生の御指摘あるいは質問主意書での御指摘等々を踏まえて、私どもから助言指導させていただいた中で、こうした事業について一定の見直しを行い、そして必要な回収についても申し出をし、そして今後の増刷、配付予定を行わない、こういう整理をしていただいたものと考えております。
 個々の内容につきましては、いろいろ御指摘のいただいたところもあり、また一つ一つ、適切な部分ももちろんあるわけでございますけれども、
総合的に勘案いたしまして、これまでの御指摘等を踏まえて、当該財団法人からの措置をとっていただいたものというふうに理解をしております。
○山谷委員 
ということは、きちんとした回収作業をしないということなんでございましょうか。この文書の中では、「日本では中絶することが許されている。」「日本のお医者さんの中絶手術の技術は信頼できるけど、」とか、もうでたらめの記述があるんですよ。回収しないんですか、きちんと。もう一度お願いします。
○渡辺政府参考人 冊子の内容におきます問題点等につきましては、十分私ども当該財団の方に状況をお伝えし、意図を理解していただいているものというふうに考えております。
 
この冊子そのものは、この財団法人がその責任において作成をしたものでございますし、私ども、省としてこれをみずから回収するというわけにもまいらない性質のものであるというふうに考えております。
 また、その活用におきましては、これまでのさまざまな議論をもちろん踏まえていただくという経緯を理解していただきたいと思っておりますが、まさしく子供の発達に応じて適切な情報が提供されるという基本が大事であるというふうに考えておりますので、現場における取り扱いも含めて十分注意をしていただきたいものと考えておるところです。
○山谷委員 適切ではないから回収してくださいということで、世論もそういうふうになっているわけでございまして、今の答弁は非常に納得できないところでございます。
 いろいろな今、性教育、方向を変えてきておりまして、例えばアメリカなんかでは、避妊技術教育をしたところ、むしろ十代の妊娠率が三〇%も上がってしまったと。そうではなくて、きちんと欲望をコントロールすることとか人格形成とか生命尊重というようなふうに性教育の方針を転換したところ、例えばテネシー州のリアー郡、十代の妊娠中絶一位だったところが、転換したところ一年目には十位、二年前目には四十六位、三年目には六十四位と、どんどんどんどん妊娠率が低くなっていったんですよ。
 むしろ、今の厚生労働省がやろうとしているところを進めると、十代の妊娠中絶はますますふえていくばかりです。性感染症はふえていくばかりです。今の十代で十人に一人が性感染症じゃないかというような産婦人科のデータもあるわけですね。こういう現実、実態調査を厚生労働省はきちんとなさって、そしてこの今の回収というのは、
これはもう不適切というようなことなんでございますから、財団法人母子衛生研究会が責任を持って編集したからうちはどうのこうの知らぬとおっしゃいましたけれども、これは厚生労働省の所管の財団法人ですよね。お金もおりているわけですよね。知らぬというのは無責任じゃないですか。もう一回答弁をお願いします。
○渡辺政府参考人 私どもの所管法人であることは御指摘のとおりでございます。私どもの関係で、例えば在外の在留邦人に対する母子保健の知識の普及等に関しまして一定の補助も出ておるというのは先生御承知のとおりでございますが、本件の冊子の作成につきましては、私ども、誤解のないように御理解賜りたいのですけれども、補助事業として実施しているものではございません。
 もとより先生の御主張のベースでございますこうした十代の性の問題に関して、私ども性育という言葉を使っておりますけれども、それの一層の強化ということが大きな課題であるというふうに考えており、御指摘重々わかるところもあるわけでございます。また、来年度の概算要求におきましても、しっかり子供の発達に応じた性育ができますような研究教材を私どもの方で開発研究をしていくというようなことをとってまいりたい、こういうようなスタンスをとっておるところでございます。
 
本件につきまして、私ども、これまでの経緯を踏まえて財団法人には適切な対応を求めてまいりましたし、そのような結果が得られるというふうに考えているところでございます。
○山谷委員 
何度もお伺いいたしましたが、回収しますか、しませんか。イエスかノーでお答えください。
○渡辺政府参考人 
役所として直接回収する考えはございません。
○山谷委員 
財団にお金が出ているわけです。厚生労働省所管の財団でございます。そのような答えは納得できません。もう一度お願いいたします。
○渡辺政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、これまでの経緯を踏まえて、財団としても、当該事業をもうしないという判断をしているということは十分事情を理解していただいているものと考えておりますし、これまでも配付先から、まだ十分とは言えないという御評価かとは思いますけれども、回収もさせていただいている部分もございます。
決してこの財団が回収しないという態度でいるのを私どもが放置しているということではないということについて、御理解賜りたいと思います。
○山谷委員 
相模原では来年三月に配ると言っているわけでございますし、中絶のこのような書き方、あるいは中学生にピルを勧める、WHOでもとんでもないということを言っているわけですよ。それから、フリーセックスをあおる、これによって初交年齢がどれほど下がって、今、複数化、乱交文化が広がっているか、御存じでございますか。
 
そのような答弁は本当に納得できないということをここで表明させていただきたいと思います。日本がつぶれます。未来への責任というものをきちんと果たしていただきたいというふうに思います。回収をお願いしたいというふうに思います。
 こんな中で、私は、
性教育に関する指導資料、実践報告書などを読ませていただきました。指導資料には、愛がなければ性交してはいけないという考えを押しつけてはいけない、つまり愛がなくてもいいんだよと書いてあるわけですね、学校の先生が使う指導資料に。それから、実践報告書の中に、中学生、高校生のころは、二人の性のコミュニケーションがうまく図れず、避妊について話せない、しかし性交の回数は多い、その場合はピル、確実な避妊方法で、快楽の性が追求できることに気づかせる。中学生に対して、こういう報告書を先生たちが出してやっているわけですね。これは、教科書じゃないからそれは自由だというレベルではないというふうに思っております。
 先ほども申しましたように、アメリカでは、人格教育、それから責任をきちんと教える、節制を教える、生命尊重教育にした途端に、明らかに十代の初交年齢が上がっていって、妊娠中絶率が下がってきた。向こうは政策調査、実態調査をやって予算のつけかえをやっていますから、この五年間、物すごく急速にそっち側にシフトしてきているわけですね。そのような御事情をおわかりだと思います。
 それから、ドイツでは、子供たちには安定した家庭、結婚、親としての責任を教えるように配慮しなければならない。そしてまた、親の教育権として、性教育の内容や方法、議論、情報提供の義務づけをしているわけでございます。
 スウェーデンでは、いっときはポルノ、フリーセックス天国と言われておりましたけれども、これはやはり倫理上の問題を考えて、教科書や教材のチェック、イラストからビデオの映像に至るまでチェックしております。
 日本は、この今の厚生労働省がやろうとしているラインは、二十年おくれなんですね。いや、欧米に比べて日本はおくれている、恥ずかしい、冗談じゃございませんです。二十年おくれのあほなことを今厚生労働省はやろうとしているのでございます。この性育というプロジェクト、数千万円、違った方向に行かないように私たちはチェックしていきたいというふうに思います。
 遠山文部科学大臣、今のようなやりとりをお聞きになられまして、感想あるいはこれからの性教育のあり方に対する所感がございましたら、一言お願いいたします。
○遠山国務大臣 人間にとって性の問題というのは、私は、大変生き方に絡む、何といいますか、私などの年代には非常に神聖な問題だと思っておりまして、余り即物的にアプローチをして幼い子供たちにいろいろなことを教えるのはどうかなというのが私の実感でございます。
 性教育について、私は余りうんちくを傾けてお話しするような内容は持っていないのでございますけれども、学校教育として性教育を扱う場合には、まず何といっても人間尊重を基盤としなくてはいけないと思います。そして、児童生徒の発達段階に応じて、性に関する科学的知識を理解されるとともに、これに基づいてあるいは望ましい行動がとれるようにするということをねらいにすべきだと私は考えております。
 つまり、私は、山谷先生のおっしゃったような、人間としての生き方として、そういう問題に対してどういう心構えで生きるべきかというようなことをきちんと教えていくことが本当は大事だと思っておりまして、それをいろいろな教科の中で展開していくんだと思いますけれども、そうですね、
今のやりとりについての感想はということでございましたら、私は、問題のある資料は直ちに回収してもらいたいと思っております。
○山谷委員 どうもありがとうございました。
 子供への責任、国の未来への責任、これは国家の安全保障の問題でもございます。ぜひ、今の大臣の答弁も踏まえて、厚生労働省として、合同プロジェクトチームをつくってこれからの性教育のあり方を考える、そしてこれは回収するというような方向で、本当にモラル、アイデンティティーを喪失させるような性教育はしていただきたくないというふうに思います。
 今、売春など性を売り物にすることは本人の自由と考えている高校生が四人に一人いる、こんな国異常ですよ。四人に一人。それから、出会い系サイトでの被害者、中高校生、四分の三ですね。本当に申しわけないですよ。私たち大人の義務、責任として、きちんとした責任ある性教育の方向の見直しというものはやっていかなければならないというふうに思います。
 渡辺審議官、もう一度簡単によろしくお願いします。
○渡辺政府参考人 本日の先生の御指摘、それから委員会でのやりとりを含めまして、しっかりと財団法人にもさらなる御理解を深めていただくように指導してまいりたいと思います。
○山谷委員 何をどう、
回収はどうなんですか。もう一度お願いします。
○渡辺政府参考人 財団として既に回収をしている実績もございます。不十分だという御指摘でございます。こうした回収の問題につきましても、繰り返し厳しく御指摘をきょういただいております。そういうことをすべて含めて、状況を理解していただき、正しい、適切な判断を財団としてしていただきますように私どもとして努力をさせていただきたいと思います。
○山谷委員 厳しく見ていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 渡辺審議官、結構でございます。ありがとうございました。